信じて進む営業の力

エッセイ

営業職の方に取材をして、思い出したことがある。私が働いていた会社の営業部長、田中さん(仮)のことだ。

田中さんはまじで優秀な営業マンでした。営業だからサービスを「いいですよ〜!」って売るわけだけれど、そこに対する一切の邪念がないというか、もう、そうするために無駄な感情が切れちゃってるの。

田中さんの営業トークはまじですごかった。「いいものはいいんです!」ってハッキリ言い切る。「もう、これ選ばなかったらあかん」と思わせるんです。YESと言うまであの手この手というか、あの口この口。でも嘘ではないんですよね、だって本人、信じているから。

私はnot営業マン……いわゆる制作部隊だったけれど、ときどき田中さんにキレたりもしていた。「そんなサービスないじゃん、盛りすぎだよ!」って。

「大丈夫、大丈夫」、「ユキちゃんならやってくれるでしょ」と軽く笑われると、クソッと思うけれど、実現するために必死で頑張りました。田中さんがもう売っちゃってるわけだから。私、言ってやらないのは大嫌いで。

その会社を辞めて一年。フリーランスになって思うことは、自分のサービスや商品を信じ続けるのって、めっちゃ大変やんな、ということ。

だって当然ライバルだっているわけだし、なんなら劣っていることを悟る時だってあるし、そんなん関係なく「そもそもこれやってる意味」って思うときもある。

田中さんだって気付いていたはずだ。あの会社がやっているサービスの穴、落ち度に。だけど、全然そんなの見せないで「いい!」って言い続けてしゃんと立っていた。それに、実際にそれを作る私たちの背中を押していた。「作れ」、「もう売ったんだから」って。

一度、忙しすぎて田中さんの協力要請を無視したことがある。「え〜まじか。売れなきゃ、ユキちゃん働けなくなっちゃうよ〜」って田中さんが嘆いていたその言葉の重さを、あの時は気付けなかった。むしろ、誰のせいで忙しいんだコラくらいに思ってしまった自分がいた。

今、私はフリーランスになって、田中さんがいなくなって、自分で自分のこと「いいでっせ!」って言いながら自分の背中を押して、前へ進んでいる。そうして初めて田中さんの言葉の意味を知って、心から謝った。あなたのおかげで、私はあそこで働けていたんです。

田中さんは偉大だった。まじで偉大だった。全国、全社の田中さんたちが尊いということを胸に刻む。私も信じよう、自分が生み出す商品を。そうして、誰よりもいいと誇っていよう。

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