旦那のファンを100人増やすための4,000文字

エッセイ

旦那22歳、夢はプロゲーマー。
いつか世界大会で優勝して一億を稼ぐ男です。
で、わたしは未来の億男の嫁です。
ドリームジャンボ宝くじよりも壮大な夢の伴走者となりました。

なのでわたくし嫁、すべての愛をこめて本日は旦那の魅力をプレゼンします。
いつかこれを読んでいる皆さんと大会で旦那を応援したいから。

魅力①:いちず

もう旦那の一途さったら半端ない。
わたしを落とすまで計5回告白した勇者です。

某調査によると女性が人生で告白される回数は平均4回だそうで。
となるとわたし、旦那からの告白だけでモテ女の仲間入りを果たしたわけです。

にしてもメンタルつよっつよでしょ?
いくら断られても好きな相手は絶対あきらめない、その強靭な精神。
いま強靭って打ったら狂人って出てきたけどそっちのほうが近いわ。

この狂人な精神をもってしたらプロゲーマーとしても成功しそう。
「欲しがります勝つまでは」、令和の若人らしい精神が根付いています。

ちなみに旦那は出会った頃からプロゲーマーになりたがっていました。
当時はまじでプロチームから声がかかった猛者でもあります。

あれ、じゃあどうしてまだプロゲーマーになってないのって?
その答えは1,668字後に。

魅力②:気遣いの化身

突然ですけど、女性の皆さん、生理のときって周囲のすべてが敵に豹変しませんか?
わたしはまさにそれで、月1で腹から毒を吐く蛇になるんです。
が、うちの旦那、対抗するヒール技を心得ておりまして。

嫁ヤバいと思ったら、すぐ切り替える。
お茶いれて、愚痴聞いて、むくんだすっぴんを全力で褒めてきます。

わたしに生理スイッチがあると学べば、旦那も生理受けスイッチを作る。
この適応力、気遣い力はチームワークの柱となるはず。

旦那がプロを目指すゲームは、5人チームで戦います。
なのでチームメンバーの仲が悪くなったら、優勝なんて夢のまた夢なわけですよ。

スポーツで天下を取るチームは、メンバー同士のトラスト&リスペクトを感じますよね。
個の力も大事やけど、チームの絆という相乗効果が必要不可欠です。

うちの旦那の気遣い力があれば、殺伐としたゲーマーたちの心もきっとつながる。
画面越しでも、ハートはひとつ。ステイホーム、ステイゲーム。
これ旦那のチームの座右の銘にしてほしい。今晩旦那にプレゼンしよう。

魅力③:幅広い年齢層にリーチする人柄

うちの旦那、めっちゃ人柄がいいんです。
しかも瞬発力のある人柄なんですよ。
会った瞬間に悪人じゃないと信じさせる特殊能力。

それを象徴する話があって。

婚前のわたしは、両親に彼の存在を隠していました。
っていうのも、当時うちの旦那まだヤンチャ盛りでして。
ピッコロ大魔王みたいな髪の色してたんですよ。
まだ両親が安心できるパートナーとして紹介するタイミングじゃなかったの。

ある日、ピッコロ大魔王が寝てるあいだに、わたしがちょっと外出したんです。
ピッコロ大魔王はその間、寝起きで朝一トイレに。

そこで聴こえる玄関の鍵の音。
「〇〇ちゃーん、あれ?いない?」

わたしの母です。母登場。
合鍵で母IN。
ピッコロ大魔王トイレ内でフリーズ。

だってアレですよ。

親との対面はレストランで、ユニクロジャケットを着せて黒髪が理想だったんです。
まだ「お義父さん、娘さんを僕にください」の仕込みもゲネも終わってない状態。

母、「トイレトイレ……」

ピッコロ大魔王、覚悟を決める。

ガチャッ。

悲鳴。からの両者ザ・ワールド。

そりゃそうですよね、娘の部屋のトイレのドア開けたらピッコロ大魔王ですよ。
うちの母まじで尿漏れてたと思う。

こんな最悪のご対面ありますか。
110番するなら今だよお母さん!!

でも、ここでピッコロ大魔王の魔力が発動するわけです。

ピ「お義母さん、落ち着いてください、僕は怪しい人間ではありません」
いやどこからどう見ても怪しいだろ、人間かすら怪しいだろ。
ピ「僕は娘さんと真剣に交際している者でして」
わたしがもし母親だったらこのセリフの時点で娘のためにこいつを仕留める。
ピ「その説明をする前に、どうか服を着させてください」

そう、ピッコロ大魔王、裸。
母娘で彼の裸を共有するというAVでしか見たことない親子丼の成立。

このようにして人類史上稀に見る対面がわたしの留守中に展開していたのですが、
わたしが帰宅したら母とピッコロ大魔王が仲良くお茶囲んで談笑してました。

おわかりいただけただろうか……。
恐ろしいほど良い人柄でしょう。
トイレに湧いた裸のピッコロ大魔王から未来の息子に昇格する男ですよ。

この人柄をもってしてプロゲーマーなんかになったら、もう、お茶の間のヒーロー越えてMARVELスタメン。
老若男女がとりこになっちゃって大変ですよ。
高齢化社会でe-sportsの魅力を全年齢層にリーチする期待の星でしかない。

ダメなところ:元ヒモ

でも旦那をプレゼンする身としては、良いところばかり言及するわけにはいきません。
旦那のダメなところも皆さんに知っていただきたい。

旦那、元ヒモです。
ヒモ・オブ・ザ・イヤー2018受賞者です。

じゃあ誰が養ってたかって?

わたしです。

実はうちの旦那、2年間無職、家事もろくにしねえマジで役立たずのクズでした。
嫁が満身創痍で働いて家事してる横でYouTube見続ける王道系のクズです。

旦那、わたしと生きていくことが人生の目標になっちゃったみたいで。
5回告白してOKされた時点で、もう満足しちゃったんですって。

はい、手を挙げたそこのあなた、そうです!
1,668字もお付き合いいただきありがとうございます、その通りです。
うちの旦那はわたしと交際し始めて夢をポロッと落としちゃったわけです。
MAMORIOつけておけば良かったのに。

旦那に取材したところ、「甘えかな。好きな女といると男はだめになる」だそうで。
インタビュアーお得意の「なるほど」返しとともに右ストレートぶちこんどきました。

一説によれば、主婦業の年収は約470万円。
昨年の確定申告とこれを足すと、嫁は堂々の年収1000万プレイヤーです。
わたし頑張ったよね。褒めて。

でも、わたしだって黙って旦那をごろにゃんさせてたわけじゃねえ。
旦那がヒモ・オブ・ザ・イヤー2019を受賞するまでに、あらゆる手段を尽くしました。

専業主夫に育てあげるべく家事のイロハを叩き込む。
本人の興味関心を探ってキャリアアドバイザーよろしく業界説明をする。
無職期間が続くといかにヤバいか語り聞かせ、ニートの親のごとく泣きつく。
いっそのことプロゲーマーをもう一度ガチで狙ってみたら?と提案する。

旦那は真面目に「なるほど」返しするものの、一つも実行には移さず。
都合の悪い提案すべてに「なるほど」ってリプ返すbotと化しました。

そうこうしているうちに、栄えある2年連続ヒモ・オブ・ザ・イヤー受賞。

その姿はまさに、動かざること山の如し。
これには武田信玄も脱帽。いや脱兜?

彼は何を試しても、YouTubeという名の大海へワンピースを求めに行く。
おまんは麦わら帽子かぶっとらんやろが。

もう無理!もう無理いいいいい!!
わたしの精神は引き抜かれたマンドラゴラのごとく叫びました。

そんなわたしを救い、彼を叩き起こしてくれたのは、わたしの友人です。
わたしの友人は、旦那と仲良くなって、彼を変えようと努めてくれました。

いうてわたしは大好きな旦那だから、怒りきれなかったんです。
代わりに「ダメな部分はここなんだよ」と言うために、友人は尽くしてくれました。
いやな役回りだろうに、忙しいなか時間を割いてくれて。

なのに、旦那はその好意を裏切ったんです。
うちの旦那、就職したくなさすぎてその友人から嘘ついて逃げたんですよ。

その敗走する背中と言ったら、あますところのない卑怯者で。
わたしはもう、許せなかった。
ノートラスト&ノーリスペクトだよ。

身から出たサビで信頼を失って、わたしと友人の糾弾の板挟みになった旦那。

もう職種とか選んでる場合じゃねえだろ、とっとと就職しろ。
それか今すぐ家を出ていけ。

増えようのない二択を突き付けられて、旦那、なんて言ったと思います?

「プロゲーマーを目指したい」

わたし、ゆっくりと野々村議員になったよね。
聞こえない。ううん、聞きたくない。

だっておめえ、ずっとYouTube見てましたやん。
わたし、プロゲーマー目指してもいいんだよってだいぶ前に言いましたやん。
それでも2年間無駄にしたのは自分やん!!

答えはNO。
わたしは心優しいYES WOMANだけどこればかりはNOだ。

ただし。

就職して自分の食い扶持を稼いで、家事してわたしを大事にしたうえで目指すならいいよ。
洗濯しちゃったレシートくらいボロボロになったわたしからの、最後の譲歩でした。

魅力④:反省して前に進む

わたしが旦那の立場だったら、もう逃げたと思う。
だってさ、自分の愛する人の前で、ここまでカッコ悪かったわけですよ。
一時の旦那はエヴァのシンジ君の数億倍カッコ悪かった。

ヒモ、嘘つき、裏切り者。

国債かってくらい信頼残高の借金抱えた状態。
もう、面目丸つぶれどころか面目ミンチ、跡形もない。
ホラームービーの開始数分で殺されるやつくらい無惨。

「逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ……」
当時の旦那の顔は明朝体で埋まってた。

そして旦那、まじで就職しました。
加えて、家事をやるようになりました。
わたしへの気遣いも失われることなく。

旦那は今まで以上に「ありがとう」と「ごめんね」を言うようになりました。
わたしが何トンの重荷を背負ってマラソンしてたか、働き始めてようやくわかったみたい。

わたしの友人を裏切ったことは、旦那の燃えにくい罪の意識に火をつけたようです。
自宅にDIYで懺悔室作ってあげようか悩むくらい、全力で反省してます。

わかればいいよ。
誰だって経験しないうちは、わからなくて当たり前さ。

ほんで最近、プロゲーマーになるための準備を始めたわけです。
出した条件をクリアしているから、わたしは全力で応援しようと心に決めました。

あきらめていないなら、やりきってほしい。

わたしの愛する旦那が推されますように

はい、全部言った。
きれいごとだけじゃなくて、全部言った。

そのうえで、旦那がみんなに愛されてほしい。
ゼロから結果を積み上げて、正当に評価されてほしい。

まだ旦那の挑戦は始まったばかりです。
夢の進行状況で言うと、ゾロがルフィの仲間になったくらい。
旧友に声かけてチームメンバーを募ってる段階です。

その姿を応援したいと思う自分はバカなのかもしれない。
でもバカで結構。
わたしはヒモ旦那をあきらめなかった。
「愛しているを言い換えて」と問われたら「あきらめない」と即答する。

これを読んでうちの旦那に興味を抱いてくださったあなた。
選手として旦那が活動し始めたら、ぜひ応援してください。
あとに引けないぶん、やつぁしぶといですぜ。

そして、このnoteは旦那の未来の誓約の書となる。
残念だな、文章を書くのが好きな嫁を持ったのが運の尽きだ。

さあ進め、旦那。
たくさんの失敗がきらめく、責任を背負った大航海へ!

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